神戸在住
- 作者: 木村紺
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/01/23
- メディア: コミック
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分かり合えない。分かり合いたい。
分かち合えない。分かち合いたい。
生きているから抱く
感情のざわめき。
生きているから出会う
日々の揺らめき。
上は帯文から。
散々待った末に発売されたものはまだまだ読み足りない出来ではあったけれど、第7巻よりもこの最終巻のほうが好きになれそう。神戸在住を読み始めたのは偶然コンビニで手を取ったアフタヌーン。震災のボランティアの話。NHKで延々と流れる火事の風景しか印象になかった私に、針を突き刺すような描写をさらっと見せた。興味を持って単行本を揃え始め、連載も読み進めた。改めて思ったのだけど、ぱっと見つまらないこの話が好きなのは、主人公が私そのものだということ。言葉に出来ない漠然とした悩みを抱え、それは自分だけの特別なものだと思っていて、だけど、それは自分だけが特別でなかったことに気付く。桂は鈴木さんを通じて気付くことができたけど、私はまだ気付けない。
..
「な」「これから辰木さんのこと名前で呼んでええ?」
「いいよ」「じゃああたしもそうするね」
「あい」
quote: 木村紺『神戸在住』第10巻 91ページ / かぎかっこは編者が付け足し
そのうち、また名前で呼び合うことができるはず。生きていれば素直に笑うことができる日も来るはず。