野球はノスタルジーの象徴です。選手契約、敬遠、退場、勝負球、ゲームと無関係の行為とドラマティックです。それと、松本大洋賞という肩書きが私の評価を曲げているような気がします。どうしてもSTRAIGHTや花男と比べてしまうからです。
小谷が急に饒舌になった理由は、濃密な野球のプレイングを通して総合的なコミュニケーション能力を獲得したという解釈です。遠投やノーヒッターのような一人野球が得意なストーリーからもブレイクスルーが見えます。
「ファウルラインを越えてから」はなにかの比喩になっていると思うのですが、私は野球に詳しくないので分かりません。内側から外側に出るように促しているのは間違いないです。喜んでくれるチームメイトがいる清川と、ここまでチーム内の対話が足りていなかった小谷との差が勝敗を分けたという見方も(後付けながら)できます。
